色気より食い気。

【舞台】スタッフさんと一緒。

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モノスヤ明かり合わせする。

トップ画像は日曜日、舞台の折にお世話になったスタッフさん秋田ステージ奥田民生ことOTさんと明かり合わせのシーン。

OTさんは顔を含めた雰囲気が奥田民生氏そのものなのに加えてイニシアルまで奥田氏と同じ(実際はT.Oさん)照明家さんです。 


秋田ステージさん(以後秋ステさん)は思い起こせば、

わたしが学生の頃から師匠の会そして自分の主宰の会で必ずお世話になっています。

25年来のお付き合いとなります。


師匠の会は東京から大道具・小道具・衣装・鬘・顔師さん・狂言方さんまで、

お呼びする大がかりな舞踊会でした。

その頃は、いずくの先生方もこぞって舞踊会を開催されていて。

それぞれに華やかさを競っていたものでしたし秋田にいて、まるで歌舞伎を観ているようだとも評されたりしていました。

思えば、それがバブル期だったのです・・・。


その時期には秋ステさんとは音響の担当さんと、

ホール付きのスタッフさんとの関わりが主でした。

照明家さんが打ち合わせには立ち会われていましたが、わたしはやり取りすることはありませんでした。


時代が変わって会の様式も様変わりし自分が主宰している会はホール自体も小さいほうに移動。

大道具は屏風・色紙・パネル、ほかにある道具を使い回して演目にあった雰囲気にしていきます。

以前の会は曲によって「定式」という決まりに則って舞台が作られていたので、

それで“おまかせ”が利いたのですが今は(自分の会では)そういったことが全く通用しません。


ぶっちゃけた話をすれば、お金を掛ければいくらでも「そのもの」を見せることができるけれど。

会員が月々、積み立てた会費と、500円で入場券を購入して応援してくださる方たちのお金と。

それで間に合わせなければならないため開催には工夫が必要です。


でも、この工夫次第アイディア次第という舞台作りが自分は好きだったりします。

自分に、お金の余裕が無いせいでもありますが〜。


こんなの本物じゃないとか素人の舞台に入場券を買わせるなんて、と。

結構かなり随分方々から非難GOGOだったりもしますが、そういうことには耳を閉じることにしています。


さて。

先日の舞台も、あるもので(限られたものと予算で)それなりにそれらしくを求められている公演。

踊らせてもらった長唄の『五郎(時致/雨の五郎)』にも定式というものが存在しますが、それに従うことは叶わないので。

掟破りかもしれない照明効果を使った舞台作りをしました。

(たいていの古典舞踊と呼ばれる演目は照明効果を狙わない演出がほとんどなのです)


まずデフォルメされた照明の雨に、スポットライト。

雨が止んでから明るさを増してホリゾント(背景)の色で人物の心情表現。

中盤以降は春の雰囲気をホリゾントの色と明るさの程度で表しました。


照明家さんがOTさんだと、ご本人から知らせてもらったので(プログラムに名前を見つけたと連絡をくださった)、

これは好機とばかりに急急にオーダー入れたのですが短時間で応えてくださいました。

(OTさん、いつも要望に応えてくださって本当にありがとうございます!!)


やり取りは主にメールを介しますが、

きっかけ(照明のタイミング)はタイムで指定するのがいいのか歌詞でするのがいいかと訊ねると。

歌詞があるとよい、とのことで歌詞を打ち込む。

ついでとばかりに緞帳の上げ下げのタイミングや後見の出入り。

依頼する照明に対する舞台の場面やイメージの説明そういったものを添付書類としました。

舞台監督となる大道具のチーフの方にも同様の物を、お送りして。


そして当日の朝、支度に入る前のリハーサルの時間で最終的な決定をします。

この場面の明かりは何パーセント的な問いに窮したり・・・

まだまだ勉強が足りないなぁ、と痛感した次第でした。


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OTさんが照明室に上がられて明かり作りをされているのを舞台上で見守るの図。

ただ呆然と立ち尽くしているようにも見えますが、たぶんほとんどそんな感じです(笑)。


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おお色が変わった(口ポカーン)


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オッケーですか〜とか訊ねられて照明室の方を向いて何やら言っている様子らしい。


写真で見ると、ぜんぜん頼りにならない感じの演者ですがね・・・。


そこはプロの職人さんのお仕事っぷりで光と闇による演出がなされ、

おかげ様で好い舞台作りをしていただきました。


もちろん照明家さんだけではなく大道具さんや音響さん、

そして顔・衣装・かつらを担当してくださるスタッフさん達にも支えられて。

わたし達は舞台に上がることができます。


そういう意味も含めて、わたしはスタッフさんが気持ちよくお仕事してくださる環境づくりって大事だと思います。

もちろん主張するところはしつつ、それは依頼や具体的な注文であって。

自分が気持ちよく踊れればそれでいい、という類いのものとは違うというか。

それと自分のイメージどおりにならないことを、スタッフさんの力不足の様に言わないこととか。

(そういうのはオーダーの的確さだと思ってます。伝え切れていないのは、こちらの表現方法に問題があると。)


スタッフさんに気持ちよく舞台を作ってもらえれば、こちらも好い雰囲気で舞台に立て踊ることができるのです。


一つの舞台は、そういう表も裏も含めた成果の結集なのだと思います。


なので、わたしはスタッフさんと打ち合わせたりコミュニケーションを取るのがとても好きです。

自分が舞台で踊るより舞台にまつわるetcをしているほうが好きなんですもん。


だから自分では弟妹弟子や愛弟子を育てて自分は指示を出せる立場になるのが夢です。

自分は舞台に立たないで、っていうこと。

少しずつですが、その自分の夢に着実に近づいている実感があります。

いずれはレシピ本でも書籍化してやr
高師直。