色気より食い気。

【消しゴムはんこ】ナンシー関さん。

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昨日、久々に消しゴムはんこを彫って。
丸2年か3年ぶりか忘れたけれど彫ったので、
できはともかく嬉しくなってブログに投稿したら。

okkoさん (id:okko326さん) から、いただいたコメントに。

ナンシー関さんを思い出し、ちょっとしんみりしちゃった。

と書かれてあって、そうだった!と思い出し書棚から引っ張り出してきた本。

この本はナンシー関さん側からではなくて、リリー・フランキーさんが好き過ぎて。
『遊べる本屋』(ヴィレッジヴァンガード)で迷わず買ったもの、
といっても文春文庫です。

ナンシー関さんは消しゴム版画家。

ナンシー関さんは、コラムニスト。
ナンシー関さんは青森の出身。
ナンシー関さんが亡くなった齢を既に自分が軽く越えていた。

あらためて、これらにものすごく納得するところがあった。

もう既に、ご逝去から11年も経っていたんだ・・・。

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共著となるこの本はクレアの連載がまとめられたもので、
巻末のリリーさんの追悼文中にもあるように。
このお二人の対談が、さらに続くはずだったことを知りました。

ナンシー関さんは、どちらかというとコラムニストの方が自分にはしっくりきていて。
版画(それが後で消しゴムだと知る)は、
そのコラムや発言を彩るための一つのアイテムだと思っていたけれど。

学生時代から著名人の消しはんを彫って注文が周囲から殺到するくらい、
ナンシー関さんには消しゴムはんこは関わりの深いものだったんですね。

自分でも、つたない消しはんの小さな作品を彫ってみて感じることですが。
彫ると同時に切る作業が書かせないので、
ナンシー関さんは「切る人」という印象が強いです。
言葉や消しゴムはんこで世相や芸能界を切っていたんだよなぁ。


今、改めてナンシー関さんのWikipediaを読んでいまして。
その中に

直接サインをもらった有名人で、特に緊張したのは鈴木慶一、チャー、デビュー前の浜崎貴司FLYING KIDS)だ

とあって。
Charさま好きな自分は共通項を見つけてうれしかったし。

まだ今もライブラリから彫られた作品を見ることができると知って興奮した!!

NANCY SEKI's FACTORY『ボン研究所』

彫り線とか、そういった細かい技術的なものもさることながら。
このデザイン画を自分で描いて彫っていたのですよねぇとしみじみする。

自分のデザインで作品を生み出すのが本当の版画家だな、と思うのです。

既存の絵をなぞって彫るのは、ただ彫っただけの作品でしかない。

ナンシー関さんには、ふふんと笑われそうだけど。

自分の話です。

消しはんの本は数冊持っていて、いろいろなデザインはそこから用いたりして使わせてもらう。
自分で一旦スケッチブックに描いて、
それをトレーシングペーパーに描き直し消しゴムに写す。

ごくたまに自分で描いたものを彫ってみることもあるけれど、

たいていは失敗する。

失敗するのは彫るべきところと残すべきところを取り違えてしまうんです。

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たとえば、これ(一応にゃんこ)目と鼻と口を抜いて顔を残せばいいところを。
逆にしてしまったために、
こうなると外側の要らない部分が彫れなくなってしまい微妙なはんこになってしまう。

こういうところが難しくて、それが楽しくもあるんだけど。

彫り物は彫るところに気がいきがちだけど実は、
それより残すところが大事なんだなーと。

そう思うと、ナンシー関さんは。
彫る(切る)部分と残す部分を、ちゃんと知っている方だよなーと。

そういう匙加減が絶妙だったから、
ナンシー関さんの発言が妙にしっくりし。
言い得てくれている。自分の代弁してくれてる、という安心感というか納得するものがあった。

しかしながら彫られているのは人物画ですが顔(皮膚の部分)は、みんな抜いてあるんですよねぇ。
各パーツを線で残して彫るっていうのは、
これは集中力の余計必要なことです。

わたしが500玉程度のを1つ2つ彫るのでも、
かなり疲労するし下向きっぱなしだから一日に何個も彫れないと思うのに。

ナンシー関さんが早逝されたのは、この版画の作業が命を縮めた一つの原因。
大きな要因だったような気がします。

わたしと8歳しか違わないので、まだまだもっともっと作品も見ていたかったし。
今を、どんな風に斬っていただろうと想像すると。

早過ぎた・・・惜しかったなぁ、と思います。


okkoさんのおかげで思い出すことができ本当に、ありがとうございます。

追悼には、とてもならないけれど。
思い出し。思い出しつつ、またちょっと彫っていこうと思っています。


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次、彫られ待ちちゅの。

いずれはレシピ本でも書籍化してやr
高師直。