色気より食い気。

【舞台】前略スタッフ様。

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(画像は3月31日の公演のもの。出演は妹弟子の花柳仲多喜。)

舞台人が先かスタッフさんが先か。

舞台人が舞台に上がるから、スタッフさん達(のお仕事)が成り立つ。

と、そういう向きもあります。

一方では、スタッフさん達がいらっしゃるから舞台に上がることができるという考え方もあります。


自分(日本舞踊指導者してます。舞台に上がる際は日本舞踊家と呼ばれることも。)は、
どちらの意見かと考えると。
否、考えるまでもなく後者の意見です。


ところで(ここで)自分が指した「スタッフさん」は、
おもに出演者の支度と舞台の演出や進行に関わる方をいいます。

日本舞踊の舞台なら化粧・衣装・かつら・小道具・大道具・照明・音響などを担当してくださる方々です。

ちなみに裏方には対する表方という用語もあって、
こちらは公演や劇場の運営に関わる事務・営業・サービスの担当者さん。
当日の受付を担ってくださる方なども表方に該当するんですね。

自分が事務局をしている団体では表方の立場と。
公演中は舞台の進行にも携わるので裏方と双方の役割があります。

自分が主宰する会も似たようなものかな・・・。


ちょっと話がズレましたが。
自分では、そういったスタッフさん達の存在に支えられ舞台に上がらせてもらえると思っているので。
自分が舞台に立つから、という前者の考えがどうも腑に落ちないのですが。
それは人それぞれの考え方があるので別段どうということもないです。

ただ個人的には裏方さん、とお呼びするのはあまり好きではなくて。
だからといってスタッフさんと呼ぶのも、しっくりきているわけではありません。

というのも、それぞれの方がそれぞれの分野において技術者さんであり職人さんだからです。

(しかし、その職人さん方をまとめてお呼びする呼称に心当たりを持たないので。
ここでは今のところ、スタッフさんと呼ばせていただきます。)

拝啓照明家様。

日本舞踊には古典舞踊と呼ばれる伝承ものの舞踊があり、
これが主に日舞の稽古場では扱われています。

その稽古成果を舞台で発表する際は、その曲によって定式というものが存在します。

支度(化粧・着物・かつらなど)は、こうで。
持ち物(小道具)は、これで。舞台美術(大道具や照明)は、こうでという決まりです。
これに、ごくごく添った形の準備がされるので。
そこに、あまりアレンジや自由さを求める余地がありません。

ただ定式に則ると、かなりの料金が掛かるため。
そんなにお金を掛けられませんが舞台には立ちたいです、というと。
様々な工夫が、なされます。

定式に近づける努力とか。手作りしてコストを抑えるとか。
道具を飾りたいけれど飾れないので照明効果を効かせるとか。

・・・ようやく照明の話が出てきました(笑)

といっても、いきなり古典舞踊の舞台でレーザービーム!!とかいけないんで。
(定式っていうより常識の範疇で)

照明は際立たず且つ冴えてとか効果的に、ということを求められるので。
照明家さんには違った頭の悩ませ方をさせている、と思います。


その点、昨夜のショー(フェスティバル。ミュージカル系。)では照明効果が存分に発揮されていました。

わたしが主宰の会で4連続で、お世話になっている照明家さんの本領発揮というか。
光に魂を吹き込んで生き生きと出演者と同等の存在感をアピールしていました。

(もちろん出演者を引き立てるという意味での存在感です)

客席の最後列で照明の卓につき、タイミングよく照明を切り替えている照明家のOさんを横目に見て。

(Oさんの※)大ファンであるわたしは舞台上以上に、その方の働きのほうが気になって仕方ありませんでした。

(※・・・読む方が読めば該当する方が直に知れると思います。
個人的なファンの範疇ですのでニヤニヤしながら読み流してくださるとありがたいですw)

生のステージを観て反省する。

もちろんジャンルが異なるため、わたし達にはできないというか。
そこまでしては過剰過ぎる、という演出もあると思うので。
何がなんでも真似できる、というものでは全くないです。

しかし日本舞踊も、いわゆる和楽器による演奏である日本舞踊の伴奏音楽“邦楽”ではなく。

音源を幅広く求めて新しく振付をし舞台に上げるケースも増えてきていて、
それをメインとする公演を演出してみたいと計画している自分には。

照明プランニングのために不足な勉強(知識と実践。バリーエション。)が、あまりに多く。

昨夜の公演を観て、とりわけ。
お世話になっているOさんと一緒に仕事させていただくには、
まだ自分は力不足だということを痛感して帰ってきました。

古典舞踊の舞台なら「定式で。」の、ひと言で済む注文ですが。
新しい舞台作りは自分のイメージを形にしなくてはなりません。

イメージを的確に表現するというのか。
クリアなイメージを描けるようになる、というのか。

それには自分が知らないことが多過ぎると感じました。


インターネットや書籍で用語を調べたりして、まとめる作業はしているのですが。

やっぱり題材や課題は生の舞台を観ればこそ。

ジャンルにこだわらず、いろいろな舞台を自分の目で見て自分自身で感じ。

自分の舞台を作り上げていく準備をしようと思いました。


こういう風に思うのも同じ舞台に立つ立場の方からの刺激以上に、

わたしはスタッフさんから受けるものが大きいです。


一緒に仕事をしたい方があって、

その方に「また仕事がしたい」と思われるような舞台人に成長したいと思います。



スタッフさんと、お客さんに支えられてこその舞台人です。

いずれはレシピ本でも書籍化してやr
高師直。